ですから、冷静に家族の姿を見極めて、志望校を選択する戦略は非常に重要です。

 実力校、いわゆるペーパー考査を重視している学校群(ペーパー難関校)を志望した際に陥るのが、ペーパー学習ばかりに偏った受験対策、そして親の属性とやるべきことを軽視してしまうことです。これは悲劇をもたらす可能性が高いと言わざるを得ません。

 例えば、ペーパー難関校で名高い暁星小学校や洗足学園小学校で行動観察が強化されたように、実力校と言われる学校でもペーパー考査だけでは決まらないご時世になってきました。

 それらの学校群でも、「ペーパー考査での足切りラインが高く設定されているだけであり、行動観察も家庭の相性も重要」という認識は必要でしょう。

初等教育での学力向上は
「親の伴走力」が必要

「相性選考は分かったけど、そうは言ってもこれは学校の入学試験。子どもの学力は関係ないのか?早慶や雙葉、暁星に白百合。学力がない子が入学したら、それこそ不幸じゃないのか?」

書影『小学校受験は戦略が9割』(新潮社)『小学校受験は戦略が9割』(新潮社)
狼侍 著

 おっしゃる通りです。当然ながら、学校は現実的に学力を求めます。しかし、幼児で測る学力には限界があります。それゆえ、今後の学力の伸び代として、本人の最低限の発達やペーパー学習への取り組み方、行動観察などで性質を見ます。

 そして忘れてはならないのが、初等教育での学力向上は、本人の力だけでも、学校の教育だけでも成し得ないこと。そうです。「親の伴走力」が欠かせません。それを推し量るのが、願書の知性であり、面接での覚悟であり、親の属性(学歴)です。

 親の伴走なしで自走する神童もいるでしょうが、求められるのは確実な再現性。ペーパー難関校のペーパー考査では、それを解ける力もさることながら、「その強度の学習に伴走しきれる親か」を見られているのです。

 小学校受験での学力測定とは、子どものポテンシャルと親の伴走力の総合判断なのです。