
中国で結婚しない若者が急増し、2024年の婚姻件数は過去最低を記録した。さらに3組に1組以上が離婚する……これでは人口が減るばかりだと、中央政府も地方政府も危機感を強め、さまざまな施策を打ち出している。さらには一部企業まで結婚を奨励するようになってきた。そもそも、中国の若者はなぜ結婚しなくなったのか。そして国を挙げた結婚奨励策の行方は……?(日中福祉プランニング代表 王 青)
中国の婚姻件数が過去最低に
2月8日、中国民政部は最新の婚姻届け件数を発表した。2024年、中国全土で婚姻届が提出された数は610.6万件で、前年比で20.5%という大幅な減少を記録した。これは1980年の統計調査開始以降最低の数字である。近年、中国では若者の結婚願望が年々低下していると言われているが、結婚件数が1年で2割も減ったこと、2013年のピーク時(1347万件)から11年で54.7%も減少したことは、社会に大きな衝撃を与えた。
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背景には何があったのだろうか。
最も大きな要因の一つが、1979年から2015年まで36年間実施された「一人っ子政策」の影響である。2016年に全ての夫婦に2人目、2021年に3人目の出産を認めたが、「子は1人で十分」という考えがすでに社会に浸透し、少子化の歯止めが効かなくなった。そもそも、一人っ子政策により、結婚適齢期の若者人口自体が著しく減少している。1997年を最後に新生児が2000万人を下回り、その後も出生数は年々減少を続け、2024年には954万人にまで落ち込んだ。現在28歳前後の95後(1995年〜1999年生まれ)や00後(2000年代生まれ)の人口自体が少ないことが、婚姻件数減少の構造的な要因となっている。
経済発展に伴う社会構造の変化も、若者の結婚観に大きな影響を与えている。特に女性が高学歴化し、経済的自立が進んだことによって、「結婚は生活の安定につながり幸せなものだ」という親世代の伝統的な価値観が覆されている。「結婚しなくても幸せになれる」と考える女性は増加し、2000年から2020年の20年間で、30〜44歳の未婚女性の割合は0.8%から5.6%へと7倍に増加。同年齢層の未婚男性も5.5%から12.7%に上昇した。
しかし、若者の間に広がっている結婚への嫌悪感は、上述の理由だけではない。