婚姻休暇、祝い金~地方政府もさまざまな施策を実施

 中央政府の号令により、地方レベルでもさまざまな施策が展開されている。山西省呂梁市では今年1月から、35歳以下の初婚カップルに奨励金1500元(約3万円)を支給する制度を開始。江西省では結婚の大きな障壁となっている「彩礼」(結納金)問題の解決に取り組んでいる。彩礼は結婚の際に男性側から女性側へ贈るお金で、その金額は年々高騰し、日本円で1200万~2000万円に相当する金額にまで達している。

 また、全国26の省で「婚姻休暇」を導入。法定の3日間から最短10日、最長30日まで延長している省もある。

「結婚しなかったらクビ」と独身社員に通達した企業も

 しかし、こうした政府の焦りは時として行き過ぎた施策となって表れる。山東省のある化学関連企業は「勤勉と善行、忠孝仁義」の伝統を掲げ、社員は家庭を築いて親を安心させることが「孝行」だと主張。28歳から58歳までの全独身社員(離婚歴のある者を含む)に対し、期限内に結婚して家庭を築き、子どもをもうけるようにという通知を出した。

 通知にはこんなことが書かれていた。

「2025年9月30日までに個人の結婚問題を解決すること。
第1四半期内に達成できなかった場合、本人が反省文を提出すること。
第2四半期内にできなかった場合、会社はその本人に対して評価を行う。
第3四半期内にできなかった場合、本人は退職すること」
(中略)
「もし第3四半期内に結婚して家庭を築くことができなければ、会社は労働契約を解除する」
(中略)
「国家の号召に応じず、結婚して子を持たない者は不忠である」

 これはネット上で大きな話題になった。「人権侵害だ」「婚姻の自由は、憲法および民法で保障された公民の権利だ。誰も干渉できない」「本当のところは、この会社は業績が悪くて人員を削減したい口実なのでは?」などの批判が殺到。最終的に地元政府が介入し、「労働法に反する行為」として撤回される事態となった。