ツナマヨを安く売る納得の理由

記事冒頭で一昨年産のお米は、「白未熟粒と呼ばれるお米が大量に発生」したと指摘したが、白未熟粒は確かに規格外のお米ではあるものの、「おいしさ」が損なわれているかは別問題なのである。
白未熟粒なども、セブンが培ってきたブレンドの技術と、甘みや食感を引き出す炊飯をもってすれば、おいしいおにぎりにすることは可能ということだ。
ツナマヨおにぎりのような大人気商品の値段をあえて据え置く戦略を、ロス・リーダー・プライシング戦略と呼ぶ。ロス・リーダー・プライシングとは、小売業やサービス業において、一部の商品を原価割れ、または極めて低い価格で販売することで顧客を呼び込み、他の利益率の高い商品やサービスの購入を促す価格戦略である。
「ロス・リーダー(Loss Leader)」の直訳は「損失先導商品」であり、企業はこの戦略を利用して全体の売上を最大化し、競争優位を確立する。消費者が低価格の商品を目当てに来店し、店舗内で他の商品を購入することで、企業は利益を上げるというわけだ。
『ロス・リーダー・プライシングとアップグレード』(2012年、KAIST経営大学院、シンガポール国立大学)には、 ロス・リーダー・プライシングには、集客数を増やすだけでなく、「シグナリング理論」の観点から説明できると指摘があった。シグナリングとは、市場において企業が情報を戦略的に発信し、消費者の行動を誘導する手法である。
例えば、ある企業が「スマートフォンのエントリーモデル」を格安で販売した場合、消費者は「上位モデルもお手頃な価格ではないか」と考えさせる効果だ。