なぜ警察は「客」に対してはここまで過去に遡って罪を確認して、その事実をマスコミに漏洩したのに、「胴元」は無罪放免なのか……。カジノ規制に求められる公平性・透明性に欠く話ではないか。
繰り返しになるが、「警察官のオンラインカジノ汚染」に世間の注目が集まってしまうと、こういう「グレーな話」もどんどんスポットライトが当たってしまう。カジノ管理委員会とそこにキーマンを出向させている警察庁生活安全局としては、IRとオンラインカジノは「別問題」と国民に強く印象づけたい。そこで、利用していた著名人が活動自粛するという情報はうってつけではないか。
今は大阪IRだけだが、「観光立国」を目指している日本ではこの後もIRを続々と誘致していく予定だ。これまで名前があがっただけでも、北海道、九州、横浜そして東京である。
そして今、オンラインカジノを「合法」にすべきという意見も出ている。厳しく取り締まりをして、利用者の摘発を繰り返ししてもイタチごっこになる。ならば、政府がライセンスを発行して、しっかりと納税をさせた方がいいではないか。
このようにリアル、オンライン問わずに全国に広がっていく「カジノ」という巨大産業の「安全」「秩序維持」を担うのは「カジノ管理委員会」、そして全国30万人の警察官とOBたちだ。良い悪いは別にして、日本のカジノが成功するか否かは、警察官にかかっている。
なぜこのタイミングでお笑い芸人、しかも警察庁生活安全局がオンラインカジノ違法キャンペーンをする前にしか、手を出していない高比良さんの「過去」が掘り返されたのか。なぜ大阪府警の警察官2人は事案そのものが「非公表」だったのに、芸人は具体的な氏名までマスコミにリークされたのか。
いろいろな不可解な出来事も「警察の威信をかけたカジノ対策がいよいよ大阪から本格的に動き出す」ということを踏まえると、なにやら妙に納得できてしまうのは、筆者だけだろうか。
(ノンフィクションライター 窪田順生)
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