タワマンで起きる問題は
ネットで調べてもダメ

 私が理事長になってなによりも戸惑ったのが、わからないことが多すぎるということでした。普段の生活で、わからないことは人に聞いたり、ネットで調べたりすれば自己解決できるのですが、タワーマンションに関してはそれで解決できないことが多すぎます。そこで、すでに述べた「マンション管理士の導入」の経緯についても触れておきます。

 予想していたことではありますが、マンション管理士の契約提案には「管理会社の管理人がいるのにマンション管理士とまで契約する必要はない」と反対する人も出てきました。しかし、これまで管理会社任せにしてきたせいで言いなりになっていた部分を、マンション管理士がチェックすることでコストを抑え、無駄な作業にお金をかけず、発注先の選択肢を多様化できるなど、メリットは大きいのです。

 マンション管理士の選定は公募で実施しました。私も個人的なツテを頼り、何名かのマンション管理士にお声掛けしましたが、なかなかいい返事がもらえません。というのも、マンション管理士自体の絶対的な数が少ないのです。それでもさまざまなルートを通じて、3社との面接が決定。公平性を担保するため、私の他に2名の理事に同席してもらい、3名で面接をして比較検討することにしました。

 面接で話を聞いていると、マンション管理士は基本的にたくさんのマンションを掛け持ちで担当しているので、本当にきちんと我がマンションの仕事が務まるのかと率直に心配の念が湧いてきます。

 3社のうち1社のマンション管理士事務所は、複数の担当者でひとつのマンションをカバーしているとのことで安心でき、この事務所との契約を理事会で承認してもらいました。期の途中からの契約だったので、その期末までの期間限定のようなかたちになりましたが、次期理事会では年間契約を前提でお願いしました。こうしてマンション管理士との二人三脚の運営が始まったのです。