マンション管理士の知恵は
修繕や備品購入にも重宝

 日用品や家電、自家用車くらいまでなら価格の相場感がわかりますが、マンションの修繕費用や備品購入の話となると正直なところピンとこないものです。

 理事会では修繕や備品購入などの見積もりが妥当かどうかを審議しますが、これまではほとんどの案件で、管理会社が出してきた見積もりを承認する形になっていました。金額が高いものは相見積もりを前提としていたのですが、いつも管理会社の方が若干安い程度。疑うわけではないですが、出来レースのような雰囲気は否めませんでした。

 もちろん価格の安さだけが購買の基準ではありませんが、理事会メンバーは普段から修繕や購買などの仕事をしているわけではないので、見積もりの良し悪しが判断できなかったのです。

タワマン管理会社の見積もり、盛ってない?電通マンの理事長が導入した「本格アイミツ」『タワマン理事長 - ある電通マンの記録』(竹中信勝、ワニブックス)

 マンション管理士と契約してからは、理事会への参加と助言を必須でお願いしました。マンション管理士に相談することで見積もりの納得感が増しただけでなく、マンション管理士からも見積もりが出され、本来の「相見積もり」が成立するように。マンション管理士は他のいろんなマンションで同様の相談に乗っている経験から相場観がある程度わかり、業者など独自のネットワークも持っています。自分で調べてみてわからないことも、マンション管理士のネットワークで調べてもらえばすぐに解決できました。

 これまで管理組合は管理会社の言いなりのような構図になっていましたが、マンション管理士が管理組合の目線に立って管理会社と交渉してくれるようになってから、多くの問題が相談で解決され理事長としてはとても気が楽になったものです。