もちろん、悪用される郵便局側もこれはよくわかっている。だから過去にはこんな異例の「注意喚起」を出している(下画像 ※Yahoo記事は画像リンク参照)。

「宅配業者を装った強盗事件が発生しています。」と題した注意喚起(日本郵便ホームページより)「宅配業者を装った強盗事件が発生しています。」と題した注意喚起(日本郵便ホームページより)

 こういう「笑えない現実」があって実際に「被害者」もいるにもかかわらず、その当事者である企業が「ドアを開けたくない女性」を笑い物にするシチュエーションコメディ動画をつくってバズらせましょう、というのは危機管理的にはかなりぶっ飛んだ発想だ。いや、「無謀」と言ってもいい。

日本郵政の“お荷物事業”、
不祥事がこれからも続くワケ

 さて、そこでみなさんが気になるのは、だったらなぜこのような動画が制作・公開されてしまったのかということだろう。

 まず、ひとつの可能性としてあるのは「確信犯」だ。

 昨今、企業のPR動画の炎上は珍しくない。ちょっとヒネった内容やエッジを効かせたメッセージを出すとすぐに批判が殺到するのだ。一方で、SNSマーケティング担当者の評価につながるのは「どれほどバズったか」なので、当たり障りのない内容は「失敗」とみなされる。なので、確信犯的に議論を呼ぶような炎上ネタを選択する風潮もある。

 もともと日本郵政では昨年10月にTikTokアカウントを開設。SNSで人気の映像制作集団「こねこフィルム」と共同でドラマレーベル「こやぎフィルム」を展開しており、「すっぴん動画」もここが制作している。内部的には「CMじゃなくてドラマなんだから多少燃えても問題ないっしょ」くらいの認識だったのかもしれない。

 つまり、日本郵政も「ある程度の炎上」を想定したうえで、「すっぴん動画」の制作・公開に踏み切った可能性があるのだ。