《相談者の上司は、会社という組織の中でプレーをするために必要なルールや規範をしっかり把握している人だと思います。あなたは反感を持つかもしれませんが、ルールに無頓着だったり、あやふやだったりする上司より、よっぽど筋の通ったいい上司だと僕には思えるのです》
それでも、当時の私は柳井氏の言うことに納得したわけではなかった。「基本戦術」など誰も教えてはくれなかったし、「勝つ」の定義も私にはよくわからない。売れればいいのかと聞けば否定するくせに、売り上げが増えれば大喜びするのが経営者というものである。
そこで気になって、改めて柳井氏の著作を読み返し、発言をくまなくチェックしてみた。その際に、柳井氏のこんな言葉を発見して非常に得心がいったのを覚えている。
何でも「指示通り」では会社は潰れる
《話を戻すと意見を自由に言える社風は大切です。僕はいつも言うのだけれど、社長の指示した通りに現場の社員が実行するような会社は間違いなくつぶれます。現場の人間が「社長、それは違います」と言えるような会社にしておかないと知らず知らずのうちに誤った方向に進んでしまう。ただし、現場の社員は社長が本質的に何を指示しているのかを理解しておくこと。それを現場の判断で組み替えていくのが仕事なんです》
(PRESIDENT2007年2月12日号)
これなら納得がいくのではないだろうか。この発言を踏まえたうえで今一度、柳井氏のインタビューを振
今となっては、申し訳ない気持ちでいっぱいだ(読者アンケートは非常に好評だったが)。