
生まれた年で大差がついた。就職氷河期世代ほど、景気という個人ではどうしようもない外部要因に苦しむ世代はいないだろう。特集『大企業が賃金を収奪!「階級社会」の不幸』の#2では、他世代と比べた絶望的な七つの格差を浮き彫りにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
退職金増税も就職氷河期世代から始まる!?
過去も現在も未来も悲惨な世代間格差
「また就職氷河期世代いじめだ」。3月上旬、インターネット上ではこんな怨嗟の声が飛び交った。
きっかけは3月5日、参議院予算委員会での石破茂首相の発言だ。同じ企業に長く勤めるほど優遇される退職金の課税制度について、「適切な見直しをすべきだ」と明言したからだ。
退職金課税を巡っては、政府は2023年の経済財政政策や改革の基本方針「骨太の方針」で見直す方針を示したものの、「サラリーマン増税だ」との猛反発を受け岸田政権は見直しを断念。25年度の税制改正でも、退職金課税の改正は見送った。
予算委の質疑では、自民党の宮沢洋一税制調査会長が退職金課税について、「猶予期間が10~15年は必要だ」と発言したことも指摘された。10~15年後は、氷河期世代の退職が始まる時期に重なる。上の世代に“逃げ切り”を許し、氷河期世代から退職金増税が始まりかねない理不尽に不満が爆発したのだ。
氷河期世代は上の世代に踏みつけられたという被害者意識が強い。それは単なる個人的な感情論ではない。過去も現在も未来も、他世代と比べると悲惨な世代間格差がついている。次ページでは、データを基に、七つの絶望格差をひもといていこう。