店舗が混雑してきたらいつでも呼び出せるよう、「休憩中の従業員は店内で待機し、外出は禁止」といった暗黙のルールは、休憩の本来の主旨と照らし合わせると、ほぼ黒に近い“グレー”です。急に来客が増えてスタッフが足りなくなった時に、たまたま休憩室にいた人にお願いをして手伝ってもらい、中断となってしまった休憩時間分はまた別で取ってもらうならぎりぎりOKですが、そもそも待機を強いることはNGです。

 他方、「外出するのであれば制服から私服への着替えをすること、もしくは制服が見えないようにすること」というルールは、妥当と見なされる可能性が高いです。

休憩時間の行動制限を設ける場合は慎重に

 休憩時間は従業員にとって大切な権利であり、自由に過ごすことが保障されています。企業はこの権利を尊重しながら、秩序や生産性を保つためにバランスを取ることが求められます。

 もし、休憩時間の過ごし方に制限を設ける場合は、正当な理由を説明できることが重要です。パチスロに行くAさんの事例からも分かるように、従業員は自由に休憩時間を活用する権利を持っていますが、その行動が業務や職場の雰囲気に影響を与えることもあります。だからこそ、企業は必要に応じて行動に関するルールを設けることが大切です。

 制服を着用している際の行動制限や、業務に支障をきたす行動の禁止などは、適切な理由に基づいたルール作りが求められます。従業員の権利を侵害せず、かつ職場環境を整えるために慎重に考えましょう。

 人事や総務関連の人はもちろん、管理職も休憩時間の使い方について理解を深め、かつ企業のポリシーと整合性を持たせた運用を心掛けることが、働きやすいホワイトな職場につながります。