しかし成功したプロダクトの多くは、最初の数年間は赤字覚悟で成長に投資し、その後大きくスケールするという道筋をたどっています。AmazonにおけるAWSのように、最初は年間数億ドル規模の赤字を計上しても、10年以上の継続的な投資の結果、年間営業利益が約220億ドルに達するまでに大きく成長した例もあります。
短期的な利益を重視しすぎると、まだ市場に浸透していない段階で撤退を余儀なくされることになり、結果的に競争相手に市場を奪われるリスクが高まります。特に、プロダクトの初期段階では赤字であっても、それが適切な市場投入と改善のプロセスの一部であるならば問題視すべきではありません。
短期的PLと並ぶ重要事項は
社内の最適化
新規プロダクトの開発において、短期的なPLと並ぶ大きな問題は、「社内最適化」です。市場ニーズよりも社内の意思決定プロセスや組織構造に合わせることが優先され、既存の営業チャネルやビジネスモデルが新規プロダクトに適していなくても活用してしまうのです。価格設定やマーケティング戦略においても既存事業のルールに縛られ、柔軟な判断ができなくなることがあります。
この問題を克服した例が、Adobeです。Adobeは、パッケージソフト販売からサブスクリプションモデルへ大胆に移行し、一時的には売上が減少しましたが、長期的な成長を実現しました。適切なビジネスモデルへの転換をためらわず実行することで、競争力のあるプロダクトを持続的に成長させることができるのです。