1時間半ほどして女性が先に出てきました。レストランで女性調査員が睦さんに顔を見られた可能性を考慮して、私と男性調査員で尾行し自宅を突き止めました。一軒家の表札から女性は永見睦という既婚者で2児の母であり、ダブル不倫であることが分かりました。
睦さんが先に出てから10分ほどして出てきた岳安さんを女性調査員が尾行すると、すぐに帰宅しました。
これらの行動はすべて証拠として撮影しました。しかし、2ショットの証拠を撮るべく調査を継続することになりました。平日に2回と休日出勤日1回の調査では、貴江さんの予測がピタリと当たり、3回とも同様の接触が確認されました。いずれもレストランからホテルへのルートは変わらず、不倫関係の2人にとって家族や社内の人たちからは安全を考慮した、全て違う場所選びでした。休日出勤の日は、電車で1時間以上もかかる場所を選ぶという慎重さが伺えました。
妻の怒りと行動力
ダブル不倫以外のまさかの事実
今まで夫との生活を最優先してきた貴江さんの怒りのパワーは強く、行動は迅速でした。不倫の動かぬ証拠をまとめた報告書を手にした貴江さんは、学生時代の友人の弁護士に相談した結果、夫の不倫相手の睦さんの夫である永見昌隆さん(39歳)にも調査報告書を見せて不倫の事実を共有することにしたのです。
貴江さんは友人女性に頼み、昌隆さんが出勤するため最寄り駅に向かっている最中に声をかけてもらい、簡単に事情を説明して連絡先を手に入れてもらいました。
すぐに連絡を取り、後日待ち合わせた喫茶店で報告書に目を通した昌隆さんは意外な反応でした。「実は睦の浮気は2回目なんです。前回は泣いて謝る睦の姿と、子どものためと思って忘れることにしたんです。でも、またやったんですね」と拳を握りしめる昌隆さんの目には涙がにじんでいました。
まだこの時点では、貴江さんも昌隆さんも離婚についてはまだ意思が固まっていない状況でした。貴江さんは専業主婦のため金銭的な懸念と、昌隆さんはやはり子どもに母親がいなくなることが気がかりだったようです。
かといってただ許すわけにはいかないという思いは共通だったので、共に慰謝料を請求する決意をしました。