健康になりたくて飲んでいたのに…
紅麹サプリで健康被害が出たワケ

 私たちはときどき一度にたくさんの食品を食べてしまうことがあります。いちご狩りのときにいちごだけでおなかをいっぱいにするようなことは、だれでも経験があるでしょう。でも、それを毎日続ける人はいません。普通の量の食品であっても、同じものばかり食べると飽きてしまうので、長くは続かないことがほとんどです。

 ときに特定の食品がマイブームになって、毎日のように食べることもあるかもしれませんが、何カ月も何年も続くことは珍しいと思います。もちろんご飯やパンのように、長い間多くの人が食べて証明してきた、毎日食べても問題ない食品はあります。しかしそれ以外の多くの食品は、毎日食べることはないのが普通です。

 ところが健康食品の中には、毎日摂取することが前提のものがあります。長く続けないと効果はみられないかのように宣伝している場合もあり、定期購入が勧められていることもあります。そうすると摂取量が多くなってしまいます。

 毒性学の基本原則に、用量が多ければ有害影響が出る可能性が高くなる、というものがあります。

 一般的に摂取量(用量)は体重1kgあたり1日あたりの摂取量で表現されます。例えばある日ポテトチップスを100g食べたとしましょう。その日だけを計算するなら、体重50kgなら2g/kg体重/日になりますが、10日に1回だったら0.2g/kg体重/日になります。1カ月に1回なら0.07g/kg体重/日です。

 食品の健康への影響は通常は慢性影響なので(食べてすぐに影響が出るのは食中毒くらいです)、一般の食品の摂取量はそんなに多くはならないのです。

 ところが毎日摂取する健康食品だと、日々の積み重ねで摂取量が多くなります。1日あたりの摂取量が多いものだったら、その影響はさらに大きくなります。小林製薬の紅麹製品は通販での定期購入を勧めていて、毎日摂取することが想定された製品でした。