
「おなかの脂肪が気になる方に」といった文言を表示しているほとんどの「健康食品」の効果は薄く、それゆえ安全だが、「本当に痩せてしまうようなサプリメントには、命にかかわる危険が潜んでいる」と、食品安全の第一人者である著者は言う。健康食品の中でも段違いにリスクが高く、違法薬物が含まれている可能性の高い、われわれが手を出しがちな「宣伝」3つとは。本稿は、畝山智香子『サプリメントの不都合な真実』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
「痩せる」は魅力的でも…
“命がけ”のサプリの現実
いわゆる健康食品の中でも段違いにリスクが高く、違法薬物が含まれている可能性の高い宣伝が以下の3つです。
(1)「痩せる」
食べて痩せるなどということはありえません。体重が減るというのは相当強い毒性影響で、食欲抑制剤や下剤成分が含まれる可能性があります。
ごくまれに、本当に「脂肪を燃やす」作用のある薬物である2,4-ジニトロフェノール(DNP)という物質が含まれていることがあります。これは、海外で死亡例が多数報告されています。
「おなかの脂肪が気になる方に」といった文言を表示している特定保健用食品など、多くの健康食品ではほとんど効果はなく、それゆえ安全なのです。本当に痩せてしまうようなサプリメントには、命にかかわる危険が潜んでいます。
(2)「筋肉増強」
スポーツ選手や筋肉トレーニングをしている人が使用することが多い製品の中には、筋肉をつきやすくするたんぱく同化ステロイドが含まれるものがあります。