小林製薬は届出の中で、「疾病に罹患している場合は医師に、医薬品を服用している場合は医師、薬剤師に相談してください」という記載があることから、健常者が適切に摂取するはずだと主張しています。しかし包装の裏面に小さく印字されているこの文章では、病気の人が摂るのを予防するには不十分であったことは明らかです。
包丁は危ない!と注意するのに
健康食品は誰も摂取を止めない
医師は、薬の効果が出ているかどうかを監視するだけではなく、副作用が出ていないかどうかもみています。何か問題がありそうだったら投薬を中止するなどの対応を速やかにとるわけです。
小林製薬の紅麹製品を使用して健康被害に遭った方の中には、調子が悪いのに摂り続けていた人もいたようです。
もし医薬品の添付文書のように、記載の症状が表れたら注意するようにという情報があったら違った対応をとれたかもしれません。いずれにせよ、効果のあるものには副作用もあります。それだけ注意深い対応が必要で、だから明確な効果のあるものは医薬品として扱うべきなのです。

畝山智香子 著
いわゆる健康食品はリスクが高いということが、一般の人たちに広く知られてはいません。例えば、包丁の使用はリスクが高いことはみんなが知っているので使い方に注意します。誰かが「包丁を振り回して遊ぶと楽しい」などと言ったりしたら、周囲の人たちみんなが止めるでしょう。
しかし健康食品の場合には「薬の代わりに健康食品を」と勧めるような人を、みんなで止める状況にはなっていません。家族や友人に「最近ちょっと調子が悪い」といった話をして、薬を飲んでいることがわかると、その薬の飲み合わせは大丈夫なのだろうかと調べてくれたり、医師に相談したほうがいいと助言をもらったりする場合が多いでしょう。
でもそれがサプリメントなど健康食品だと、本人はもちろん周囲の人も疑わない傾向があります。
消費者庁などは薬と同じように、健康食品の使用の記録をつけるように啓発資料を提供していますが、お薬手帳ほど浸透していません。