
「強情っぱり」を一見感じさせない
加瀬亮の緻密な演技
駅では、ヤムおじさん(阿部サダヲ)が「人生に別れはつきものさ、あばよ」とかっこよくこの町を去ろうとしていた。でもお金が足りず足止めをくらっている。
ひとり駅まで見送りにきたのぶに、結太郎は帽子をかぶせて、列車に乗り込んだ。
大きなお父さんの帽子をかぶって見送るのぶ。
お父さんが今度帰ってくるのは1カ月後。ところが、数日後、寛(竹野内豊)が悲しい知らせを持って訪ねてきて……。
寛が電話を受けた画が、静かに遠くの視点に引いていく感じとか、知らせを受けた釜次(吉田鋼太郎)とくら(浅田美代子)は言葉の意味がすぐにわかって深刻な顔をしているのに対して、傍らの子どもたちは意味がわからずきょとんとしているという落差とか、描写のひとつひとつに切なさが募った。
「人生に別れはつきものさ」とはいえ、ドラマはまだ始まって4回目。やりきれない。
『あさイチ』では、博多大吉が、お父さん、元気がなかったと振り返っていた。そう、結太郎は寛の病院で診察を受けて、不整脈があると注意されていたし、加瀬亮は体調が悪いが無理をしている様子を演じていたのだろう。
「強情っぱり」に見えないやわらかい雰囲気を醸しているように感じたが、つらいところを他者に感じさせない強情っぱりな結太郎の気持ちを思うと泣けてくる。
加瀬のこれまで演じた役で強情っぱりといえば、『SPEC』の瀬文であろう。あの役はゴリゴリの体育会系の警察官で、W主演の主人公・当麻(戸田恵梨香)と激しい意地の張り合いをしていた。
ドラマが制作されたのは2010年で15年も前だ、なつかしい。あれから10年たった加瀬は、強情っぱりのお父さん役をどのように演じたのか。公式コメントをご紹介しよう。