ホンダと2025年12月23日に基本合意書を締結し、経営統合に向けた本格的な協議を始めた日産自動車。その日産に対して同年9月、アクティビストファンドのストラテジックキャピタルが上場子会社の吸収合併を求める書簡を送っていた。特集『総予測2025』の本稿で、同代表の丸木強氏にその理由を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
日産が子会社の収益を「収奪」
少数株主との利益相反解消を
――日産自動車と子会社の日産車体の株主として、日産の内田誠社長に2024年9月に書簡を送ったそうですが、その理由は。
まず日産車体の業績は長年低迷し、上場企業の自動車および自動車部品セクターで過去20年間ほぼビリです。
売り上げの約98%は日産に依存している。日産は株式の50%を持つ大株主ですから、子会社の日産車体には交渉力がない。取引条件が悪いから、利益率が低い。
要するに親会社に収益を収奪されている。親会社と少数株主の典型的な利益相反に陥っている。
日産車体の常勤取締役は過半数が日産OBです。その取締役に対し、日産以外の株主の60%以上が選任に反対している。つまり少数株主から全く信任されていない。
それからCMS(キャッシュマネジメントシステム)と称し、子会社のキャッシュを親会社が吸い上げている。直近では約900億円を日産車体が日産に預けている。
金利はわずかに付いているらしいけれども、少なくとも資本コスト以上のリターンを上げているのか。日産の信用力は低いのに、大金を預けっ放しでいいのか。少数株主としては心配です。
――それをなぜ、親会社の内田社長に申し入れたのですか。
日産自動車に書簡を送ったストラテジックキャピタル。丸木強代表は、日産の上場子会社である日産車体の“処遇”を具体的に提案する。その内容を次ページで明らかにする。