通常、代理店があいだに入ると、「こんなことをやりたい」と提案しても、クライアントに配慮しすぎて、「それはきっと無理ですね」と、実際に確認も取らず否定されたり、確認を取っても、あいだに人が入ることによって意図やロジックがうまく伝わらずにNGになることもしばしば。

 でも、直接やりとりさせてもらえれば、無茶なアイデアに見えても、「こんな見せ方にすればちゃんと笑いになります」と、ロジックとして説明することができる。

 実際、今回の企画ではそのあたおか社員さんと何度も何度も会議を重ね、密に話し込めたからこそ、お互いの考え方や立場を理解でき、我々の無茶なアイデアでも、できる方法を考えていくというスタンスで前向きに受け取ってもらえ、面白いアイデアを成立させるための判断までしてくれることもありました。

 そんな某社あたおか社員さんの情熱と覚悟があって、「お笑いがコンプラに勝った日」は生まれました。

「0点」と言った映画を宣伝!?
中止寸前でもあきらめなかった

 代理店を挟まないことでエンタメ業界にとって歴史的なコラボが実現した、前項で書いた某社との動画。打ち合わせが進んでいき全体の概要が決まりかけた時、企画自体の成否を分けかねない、とある問題が撮影直前になって判明しました。

 江頭さんが以前、インターネットテレビの映画を批評するコーナーで、2018年に公開された同じシリーズの映画のことを酷評していたのです。なんと「0点」を付けていました(笑)。

 それを僕やブリーフ団は把握していなかったのですが、その映像は今でもユーチューブ上に残っており、某社の人がそれを見つけ……。担当あたおか社員さんからその事実を知らされた時は青ざめました。

 某社としては、過去に「0点」を付けて酷評した人にシリーズの宣伝隊長をオファーするのは、さすがに無理があるでしょう。

 僕やブリーフ団も知らなかったとはいえ、これには弁解の余地はありません。某社もさぞお怒りだろうなと思い、「今回の企画は中止でもかまいません。ご判断はお任せします」と伝えました。