するとそのあたおか社員さんからは、それでも「エガちゃんねる」さんとコラボがしたいので、会社を説得するための解決策を一緒に考えてもらえないかという主旨の返答を頂きました。完全に「頭がおかしい」です(笑)。そして、この情熱に応えないのは我々としても男がすたります。逆に火がついてきました。

 とはいっても、このまま進めても、芸人・江頭2:50としてはこの仕事を受けられないはず。そして江頭さんの昔からのファンからしても、同じシリーズの映画を酷評していたことは周知の事実のはずですから、「低評価していたのに宣伝隊長をやるなんて筋が通らない」とガッカリされることはあきらかです。

「江頭2:50=主人公」
共通点に気づき笑いで昇華

 幸いだったのは、江頭さんは映画の内容そのものよりも、主人公が言うギャグがスベっている、という点で低評価にしていたこと。江頭さんの芸人魂が思わずうずいてしまったのかもしれませんね。

 そこで見つけた突破口は、江頭さんが「スベっている」と酷評する主人公には、江頭さんと共通点がたくさんある、というところ。「どちらもR指定」「どんな大物にも忖度しない」「ルールを破る」「女性に一途」……などなど。

 スベっているという主人公との共通点を次々と江頭さんに提示し、「江頭2:50=主人公」という構図を作り上げて、江頭さんを追い込んでいく。

 そしていざ本番では「江頭2:50と主役は同じ」という構図を笑いとともに作り上げることができて、江頭さんが宣伝隊長に就任することになりました。

世界一コンプラに厳しいエンタメ企業が江頭2:50に仕事を依頼して大成功を収めたワケエガちゃんねる 10億回再生 下品の流儀』(藤野義明、宝島社)

 もともとは、「某社に行った江頭さんが宣伝隊長を依頼されて主演俳優にインタビューに行く」というシンプルな構図の動画でしたが、気づいてみればもともとよりも奥行きが出て面白い動画になったと思っています。

 一度はあきらめかけた大きな壁でも、突破口はある。そしてそれを突破した時、より良いものができる。とあらためて気づけた動画となりました。