テスラ、コカ・コーラ、ハインツ…
欧州で米国ブランドの不買運動
現在の欧州経済は、主要自動車メーカーの電気自動車(EV)シフト戦略が失敗したこともあって厳しい状況にある。負のインパクトを軽減するため、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は「強力な対米報復措置を導入する」と表明した。
欧州委員会の報復措置は、すでに導入を表明している米国産ウイスキーや二輪車への報復関税を拡大することが考えられる。また、米GAFAM(Google、Apple、Facebook〈現Meta Platforms〉、Amazon、Microsoft)を主なターゲットとした、独占禁止法調査や制裁金発動の警告も検討対象になり得るだろう。
欧州では、米国ブランドの不買運動も激化している。テスラ、コカ・コーラ、ハインツのケチャップ、フィラデルフィアのクリームチーズ、ジャックダニエルのウイスキー、ビスケットのオレオ、マウスウオッシュのリステリンなどと幅広い。
ドイツのある世論調査では、米ブランドの購入を避けると回答した消費者の割合が56%に達したという。また、デンマークでは、欧州ブランドであることを知らせるために値札に星マークを付ける小売店が出始めたという。
中国は、トランプ支持者が多いといわれる米国の農業従事者を狙い撃ちにして、大豆をはじめとする農産品への追加関税を発動する可能性が高い。あるいは、輸出管理を厳格化するリストに米国企業を加えたり、公務員が米国企業のモノやサービスを消費するのを禁じたりする可能性もある。
その一方で中国は、米国離れが進む国や地域との連携を急速に強化している。まず、一帯一路の沿線国に経済支援を再び呼びかけ始めているのだ。国内では、車載用バッテリーや半導体製造に必要な重要鉱物の生産補助金を拡大している。
3月28日、習近平国家主席が外資企業40社超のトップを招いて会談した。米フェデックスや仏サノフィ、英HSBC、韓国のサムスン電子やSKハイニックスなど世界の名だたる企業が参加。日本からは、トヨタ自動車の豊田章男代表取締役会長、日立製作所の東原敏昭執行役会長が出向いた。
中国は、世界からの投資を誘致して国内生産を増やし、米国との貿易戦争への準備を進めているとみられる。こうした中国の動きは、今のところ相応の効果を上げているようだ。