手の動きに合わせて
大きく体が動いた!

 前島氏の気功実践はさらに続く。インタビューの最中、おもむろに筆者の腹部をじっと見つめ出した前島氏は、「肝臓の状態がちょっと、良くないですね」と言う。確かに無類の酒好きゆえ、肝臓が疲弊気味なのは自覚しているが……。

「ちょっと、整えておきましょうか」

 前島氏はそう言うと、筆者の腹部に手を当てて気を送り始めた。すると、それまでおとなしかった腹部の臓器が、急にギュルギュルと大きな音を鳴らし始めるではないか。この様子を傍らで撮影していたカメラマンも、思わず目をぱちくりさせている。

 その後、実際に胃腸のあたりが軽くなった気がしたのは、果たして思い込みなのか。正直なところわからないが、気分はとてもいい。

 さらに別室に移動して、緩衝材代わりの布団を壁に立てかける。いよいよ、気功で人がふっ飛ぶあれを実演してくれるというのだ。

「ただ、手を触れずに人を飛ばすには、相手側にも気功の鍛錬が必要なんです。そのため、今日のところは少し手を使いますが、それでも十分に気の力を体感してもらえると思いますよ」

 そう語りながら前島氏は、両足を揃えた状態で筆者の前に直立。少し気を溜めた(ように見えた)あと、前島氏は「いきますよ」と筆者の両肩をトンと押す。すると確かに、蹴り足の利かない体勢で押されたとは思えない、異様なパワーで筆者の体が大きく後方に跳ねた。

 ちなみに前島氏は痩せ型の67歳。少なくとも体格や腕力に見合った圧力ではなかったことは間違いない。不思議である。

 また、直立する筆者の背後から、前島氏に気で前後左右に引っ張ってもらうという実験も試みた。これについては筆者からすると、後ろで前島氏がどのような動きをしているのかわからないので、ただなんとなく体がゆらゆらする程度の認識でいた。

 それでも最後に大きく後方へ体が傾いたのは、単に自分がバランスを崩しただけなのか、あるいは目眩のようなものなのか。すると、一部始終を撮影していたカメラマンが驚きを込めて言った。

「体の揺れ、すべて前島さんの手の動きとリンクしていましたよ……。最後に体が大きく引っ張られたのもそうです」

 信じられない、といった表情の同行者を見て、なるほどこれが気功なのかと実感した次第である。

触れてないのに「お腹がギュルギュル」「体がすっ飛ぶ」…一流の人が使いこなす「気」の力は本当だった!トンと押された程度だが、筆者の体は大きく後方に弾け飛んだ Photo by Shogo Murakami