「値切れない」けど
タッチ決済は歓迎する大阪人
大阪人は定価では買わない、そこから必ず値切って買うのだ、とはよく聞く話だ。そんな例として、知人が大阪の商店街でのエピソードを聞かせてくれた。
彼は東京在住で、お土産に関西っぽい柄のTシャツでも買うかと物色していたそうだ。すると、大阪のオバちゃ……いやマダムに、どうしたんやと声をかけられた。1枚1000円のTシャツだが、AとBのどっちにするか悩んでいるんですと答えたら、間髪入れず「2枚とも買うたらええ、店の人に安くするよう話つけてあげるわ」と、頼んでもいないのに店に入っていき(知り合いの店ではない)、値切ってくれたらしい。
店の人が、じゃあ2枚で1500円でいいよと言ってくれたところ、そのマダムが「ふうん、1500円いうのは、こっちのよさそうなのが1000円で、けったいな柄の方が500円ということやな。じゃ、兄さんはこっちの500円のを色違いで2枚買うたら1000円で済むで!」と、驚愕のアドバイスをくれたそうだ。
これぞタフなディール、トランプ大統領に張り合えるのは大阪のマダムしかない。そもそも1枚1000円でも十分安いのだ、知人は恐縮しつつ1500円で2枚買わせてもらったそうだ。
少々脱線したが、このように大阪では値切るのが礼儀なのでは、と筆者も思っていた。だから、値切れないキャッシュレス決済は人気がないのではと心配なのだ。
しかし、意外なデータがある。国際ブランドVisaによると、クレジットカードのタッチ決済の認知度は、全国では76.4%に対し大阪は80.7%と高く、毎月200万以上のアカウントで使われているという(2024年9月の数字)。
これには理由があって、ちょうど1年前になる2024年4月16日からVisaの「大阪エリア振興プロジェクト」として、タッチ決済利用に対しキャッシュバックを行うキャンペーンが始まっていた。