会社にとって重要な人材なのに
管理職を「放置」している会社は多い

 初めて管理職になって部下と1on1をしたり、部下に評価のフィードバックを伝えたりする時にどう伝えていいかわからず、戸惑った人は多いのではないだろうか。つまり、管理職というのは会社の中心的存在であるにもかかわらず、その人が活躍するために必要な武器を与えていない会社、その武器を与えることに投資をしない会社が多いのだ。

 もちろん管理職が勝手に学ぶこともできるが、せっかくであれば全員が知識やノウハウを高めていった方が、会社にとってメリットは大きいのではないかと思う。

 3つ目は、マインドセットの問題である。

 これは単純にやる気があるとかない、とは別でさまざまな原因が考えられる。管理職としてのどういった心持ちや考え方で仕事をするべきなのかを正しく認識していないだけかもしれないし、やりたくないのに管理職を嫌々やっていることでモチベーションが下がっているのかもしれない。または、管理職であるにも関わらず、結局その上の上司からマイクロマネジメントをされるだけになり、自分の裁量が全くないことで諦めてしまっているのかもしれない。

 しかも、マインドセットやモチベーションというのは、何かの小さなきっかけで変わり得る。だからこそ、非常に扱いが難しい。

 そしてこれは、研修をしたり、知識を提供すればいいものではない。むしろコーチングのように、管理職1人1人の考えていることや感じていること、現在の状況などをしっかりと把握した上で、モチベーションを高く持って働くことを阻害する要因を取り除くことから始めないといけない。

 それは職場環境かもしれないし、人事制度かもしれないし、管理職個人のプライベートな問題から派生しているものかもしれない。

 どこまで会社が対処するかは検討が必要だが、「管理職としての目線が低い、だから目線を上げるために部長と飲み会をしよう」「経営者と話す機会を増やそう」といった安易で単発的な施策で解決するものでもない。

 管理職を一個人として常に寄り添い、その人の状況をつぶさに観察していくこと、そしてケアが必要であればケアしていくことが必要である。

 今回、3つの要因を見てきたが、実はほとんどが会社の問題でもあることに気づいた読者も多いのではないだろうか。

「管理職が育たない」ことは、管理職個人の問題として片付けられることも多いのだが、こうやって1つずつひもといてみると、会社として管理職へ何も投資していない、何もフォローしていない、むしろ管理職に向いていない人をアサインしてしまった……など会社の問題がほとんどである。

 管理職というのは経営と現場の結節点だからこそ、この層がしっかり成果を出してくれることは会社にとって大きなメリットがある。にもかかわらず、管理職になったら放置、のようなやり方をとっている会社があまりにも多いのではないだろうか。

 管理職の成果がいまいちだと感じたら、まずはなぜそうなっているのか、個々の管理職が抱える要因を把握するところから始め、必要な投資やケアは何かを考えることをおすすめする。