漁師は少し考えてから投資家に訊ねます。

「それで、その後はどうするんですか?」

 投資家は自信満々に答えました。

「その後は引退して、小さな村で悠々自適に暮らし、家族と時間を過ごしながら釣りを楽しめばいいさ!」

 漁師は微笑んでこう言いました。

「でも、それはいまのわたしの生活ですよ」

 わたしたちはなにを求めて生きているのでしょうか。ぜひ一緒に考えていきたいです。

不安が尽きない人は
地方移住を考えてみよう

 お金の不安が尽きない。そんな人におすすめしたいのは「地方に住む」という選択肢です。地方は都会に比べるといまはとうぜん物価が安い。海の幸、山の幸に恵まれている。そしてなにより静かです。ノイズが少ない。

 地方暮らしなら、物心両面に余白が生まれやすいはずです。その点であなたの自由度は拡大します。地方移住は有意義な選択肢のひとつに違いありません。

 都会暮らしのほうがなにかと便利?たしかに都会はインフラが整っています。電車、バス、タクシー。交通網は完璧でしょう。少し歩けば、スーパーやコンビニもいくらでもある。買い物に困ることはない。行政サービスも充実しています。ちょっと前までなら、確かにそうだったかもしれません。しかしまだ記憶に新しい米不足。都会を中心にお米が買えないという事態が発生していました。それもそのはず、都会は基本的に一次生産する場所からは遠く、ほぼすべてが地方から(海外から)運ばれてきているだけ。

 生きるうえで便利さがすべてではありません。都会には都会のすばらしさがある一方、地方には地方のすばらしさがあります。

 僕は10年近く、アメリカを中心に世界を飛び回ってきました。その経験を踏まえて言えば、日本の生活環境は世界一です。

 日本は全国各地どこも綺麗で衛生水準がとても高い。路上にほとんどゴミが落ちていません。もしゴミが落ちていたとしてもじきに誰かが片づけてくれる。海外ではまずあり得ないことです。

 駅や公園の公衆トイレまでもが綺麗です。きちんと清掃がなされている。アメリカやイギリスの公衆トイレはお世辞にも綺麗とは言えません。海外では排水管が詰まっていることもしょっちゅう。そもそも公衆トイレの数自体が少ない。清掃の行き届いたトイレを使いたいならもちろん有料です。

 日本では無料で綺麗なトイレを使い放題。こんな国はほかにありません。

 衛生面だけではありません。飲食店のクオリティの高さも圧倒的です。牛丼チェーン店がいい例ですが、1杯500~600円であの美味しさはもはや奇跡でしょう。

 そしてなにより世界に誇れるのが治安の良さです。日本ほど安全な国を僕は知りません。なにせカフェの座席にバッグを残してトイレに立てるのです。海外なら一瞬で置き引きに遭うでしょう。