のぶと貴島のいい雰囲気を見て
胸の痛みを覚えた嵩。診断の結果は?
改めて、第11回を振り返ろう。
昭和10年、ヤムおんちゃん(阿部サダヲ)の協力で朝田家のパン屋さんはすっかり定着している。のぶは高等女学校の最終学年、次女の蘭子(河合優実)は郵便局に勤務、三女のメイコ(原菜乃華)は高等小学校の1年生。蘭子と羽多子(江口のりこ)はちょっと見た目の印象が似ている。のぶとメイコはくら(浅田美代子)似であろうか。
嵩(北村)は漫画を描くようになっていて、千尋(中沢元紀)に漫画コンクールに応募してはどうかと勧められる。小学校のときは首席で成績が良かったのに漫画を書き始めたことを、千代子(戸田菜穂)はやきもき。
でも寛(竹野内豊)は「何のために生まれてきたのか」しっかり考えるように、嵩と千尋に説く。この時、人生はフォークと違って替えが効かないと、気の利いたことも言うのだ。そこが寛の魅力的なところ。
この時代、女学校を卒業するとほとんどの女性が結婚していた。クラスでも早くも縁談が決まった生徒もいた。でも、のぶは結婚というものがピンと来ていない様子。幼い頃、父に言われた「大志」を見つけられないでいた。
そんな時、立派になって中尉に出世した幼なじみの貴島(市川知宏)と再会。子どもの頃、ガキ大将だった貴島とは楽しい思い出がいっぱい。え、そんな描写、1、2週にありましたっけ? それはともかく。
貴島から、祭りのパン食い競走用のあんぱんの発注を受ける。朝田パン、創業以来の大量発注に張り切る朝田家。さらにのぶはパン食い競走の商品がラジオと聞いて、参加しようと思い立つ。
嵩は、のぶが貴島といい雰囲気であるのを見て、胸の痛みを覚える。寛に診療してもらうと診断の結果は「ジェラシー」だった。
のぶも嵩も、将来どうなりたいか、仕事や恋、結婚など、いろいろな道が眼前に現れて、どれを選ぶか迷いはじめる。のぶへの感情を持て余し、部屋でうつぶせになってゴロゴロしている嵩が微笑ましい。
嵩をあたたかく見守る寛。フランス語、ドイツ語、英語で「嫉妬」の言葉を羅列する寛。「フォーク」の話といい、いちいち洒落ている寛。ともすれば、気恥ずかしく聞こえそうなセリフも、竹野内豊の甘く柔らかい容姿と声によって聞き心地が良いものになる。
「なんのために生きるか」も竹野内の声で聞くと、より印象的に響く気がする。
