2005年度からの三菱自動車の再生計画は、いよいよ残すところ約1ヵ月に迫り、着実な成果を示しているように見える。これに伴い、2月末の発表に向けて三菱自動車のポスト再生計画の策定が大詰めを迎えている。だが、その次期計画には、優先株の出口処理や北米事業の抜本的テコ入れは盛り込まれず、多くの課題がそのまま積み残されてしまう。

 「(黒字定着の)確かな手応えを感じる。つぶれそうだった時期を考えると隔世の感がある」

 国内リコール問題や米国での強引な金融販売が引き金となり、経営危機に陥った三菱自動車。残すところ約1ヵ月となった、その再生計画(3ヵ年)について、益子修社長はこう評する。

 確かに、明るい話だ。が、益子社長の表情からは緊張感が消えることはない。それも当然。ポスト再生計画の策定が大詰めを迎えているからだ。関係者いわく、発表は2月29日の予定である。

 じつはこのポスト再生計画、当初は「昨年秋にも発表する」と三菱自動車の首脳陣が公言していたものである。

 ところが、現時点でも未発表のとおり、策定作業が遅れに遅れ、ついに越年。しかも、予定の期日に発表できたとしても、画竜点睛を欠くものになりそうだ。

 というのも、現時点での情報によれば、まずなにより懸案され続けてきた資本政策、つまり、優先株の出口処理が織り込まれそうにないのである。

 周知のとおり、2004年以降、三菱自動車は再建資金調達のために三菱グループ各社に対し、約6300億円の優先株を発行、いまなお4400億円を超える優先株が残されている。2009年度に始まる優先株配当は約220億円と大変に重い。かといって、仮に優先株がすべて普通株に転換されると約90億株にもなり、株式の希薄化により、既存株主からの反発は免れない。その対応策を、なるべく早急に市場に提示する必要があるが、「三菱グループ各社の(首脳)人事が確定しないと決められない」(関係者)。早くとも6月以降にずれ込むとの見方が支配的だ。