ポジティブな面があるとすれば、愛知万博の時と比べて訪日外国人(インバウンド)が6倍ほどに増えていること。05年の訪日外国人数は約673万人だったが、25年は4020万人~4200万人と推計されている。ちなみに10年の中国・上海万博では、海外からの客は約425万人だった。
もっとも、仮に大阪万博の入場者数が目標を達成しても、事務局が想定する入場券売り上げによる収入は969億円に過ぎない。万博の初期投資となる会場建設費2350億円、会場インフラ整備費8390億円は到底賄えないのだ。となると、入場者数の目標達成イコール成功ではなくなる。
地元ゼネコンが潤っただけでも御の字?
他方で、万博は開催するだけで経済波及効果はある、という意見はある意味正しい。産業連関表を用いた経済波及効果の計算では、一般的にイベントの経済効果は工事額と来場者の消費額の合計の1.4~1.6倍となる(ただし、経済波及効果計算ではプラス面だけを積み上げ、他の需要を奪うマイナス分は考慮されない)。
万博工事を入札ベースでみると、地元のゼネコンである大林組が関与している工事が20%、竹中工務店が15%を占める。万博工事は「大屋根リング」をきっかけに1250億円だった会場整備費が2350億円に膨れ上がったので、当初は実質的に赤字受注だといわれたゼネコン各社は、黒字を確保できたとささやかれている。いずれにせよ、地元におカネが落ちたことは言える。
一方で、万博工事は建設業の人手不足に拍車をかけた。もともと大阪の建設・土木・電気工事の有効求人倍率は6倍超もある。万博工事の影響で、大阪では日給2万円を超える工事現場の求人が当たり前になったほどだ。
22年に府と市の万博推進局ができた際、当時の松井一郎大阪市長は「万博は大阪の将来を左右するといっても過言ではない。成功させることがまさに、東京と肩を並べられる大都市・大阪を作る」と述べた。つまり、万博開催をきっかけに、どれだけ大阪の「都市開発が進むか」が成否を決めるようだ。