65歳を過ぎたら
むやみに健康になろうとしない

 作家の瀬戸内寂聴さんも、105歳の長寿だった医師の日野原重明先生も、みんな大の肉好きでした。ムリに食べることはありませんが、食べられる人はしっかりとタンパク質を摂るべきです。

 あっさりした変化のない食生活を好むのも「見た目が高齢」な人の特徴です。

 そんな人の食生活は、次のようなイメージです。

朝……ご飯に味噌汁、納豆、漬物。

昼……蕎麦かうどん、夏なら、ソーメン。

夜……野菜の煮物、煮魚、冬なら、鍋物。

 1つひとつの食事は、たしかに健康的です。消化にもよく、体にもやさしそうです。コレステロール値も血糖値も低く抑えられますし、塩分(これも足りない人のほうが多いのですが)さえ注意すれば、血圧が極端に上がることもないかもしれません。ただしこのような食生活を毎日送っていると、“見た目年齢”や“心理年齢”が実年齢より上がってしまう可能性が高いのです。

 個人的には、65歳を過ぎたら、「健康数値至上主義」とも、そろそろお別れしてもいいように感じています。「健康数値がいいなら、見た目だって若いはずだ」と考える人が多いようですが、大きな誤解です。

 私が今までに接してきた70代で言うと、“見た目年齢”が若い人のほとんどが、血圧もコレステロール値も少し高めでした。

 少なくとも、検診で定められている基準値よりは高めの人が多かったのです。逆にうつ気分が続く70代のほうが健康数値は正常であることがよくあります。むやみに健康になろうとしなくていいのです。

 仕事上で会食があるなら、美味しい肉をどんどん食べて、楽しいお酒をどんどん飲みましょう。

高齢ドライバーの暴走事故
原因は薬の副作用が疑われる

 健康といえば、考えていただきたいのが持病の投薬です。長く働き続けるためには、その準備期間から平素飲んでいる薬を見直してほしいのです。

 なぜなら、どんな薬にも副作用があるからです。

 そういった薬の副作用により、交通事故が引き起こされているのではないかと考えることもできます。むしろ高齢ドライバーにおける重大な交通事故の原因のほとんどは、薬による意識障害が原因ではないか、と私は推測しています。

 アメリカで最近発表された、事故を起こした高齢ドライバー10万人以上の調査では、80%の人が運転時も危険とされる薬を飲んでいたことが明らかにされています。