伝わる文章を書ける人は「見た目」を意識する
20万部のベストセラー、200冊の書籍を手がけてきた編集者・庄子錬氏。NewsPicks、noteで大バズりした「感じのいい人」の文章術を書き下ろした書籍『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』(ダイヤモンド社)を上梓しました。
実は、周囲から「仕事ができる」「印象がいい」「信頼できる」と思われている人の文章には、ある共通点があります。本書では、1000人の調査と著者の10年以上にわたる編集経験から、「いまの時代に求められる、どんなシーンでも感じよく伝わる書き方」をわかりやすくお伝えしています。

読み手にストレスを与えない「見た目のいい文章」を書くコツ・ベスト3Photo: Adobe Stock

文章の「見た目」をよくする3つのスタイリング術

相手にストレスを与えない、第一印象のいい文章を書くには「見た目」を意識するのが大切です。
今回は3つの「スタイリング術」を紹介しましょう。

①かぎかっこを使う
強調したい言葉や長い一文には「かぎかっこ」を入れると見た目にメリハリが生まれます。資料やコンテンツにおいては次の「太字」と組み合わせてもOKです。

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【変更前】
一度で伝わらないとき、それでも伝えたいのであれば繰り返し伝えることが必要です。

【変更後】
一度で伝わらないとき、それでも伝えたいのであれば「繰り返し伝えること」が必要です。
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②太字にする
強調したい部分があったら、太字にするのも有効です。ただし、2文以上続けて使ったり、近い距離で繰り返したりすると読みづらくなります。

また、個人宛てのメールやチャットでは、やや押しつけがましい印象を与えるので、基本的に使わないほうがベターだと思います。

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【変更前】
記憶力や集中力の差もあると思いますが、人はかなりの情報を忘れてしまう、もしくは最初から聞いていません。

【変更後】
記憶力や集中力の差もあると思いますが、人はかなりの情報を忘れてしまう、もしくは最初から聞いていません。
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③ひらがなを多めにする
漢字ばかりだと小難しく、とっつきにくい印象を与えるものです。
「ひらがな7割、漢字3割」を目安にすると、読みやすく、やわらかい印象に見せられます。

出版業界では漢字にすることを「閉じる」、ひらがな/カタカナにすることを「開く」と言います。以下にまとめたのは、仕事でもよく使う、かつ開いたほうがやさしい印象を与えられる言葉です。

読み手にストレスを与えない「見た目のいい文章」を書くコツ・ベスト3

とくに「文章が冷たいってよく言われる」「やわらかい印象を出したい」という人は、迷ったらひらがなにするくらいがちょうどいいと思います。それだけでも文章の雰囲気はかなりやさしくなります。

こんなことを言うと「仕事のやりとりでは漢字を多く使うべき」という反論が聞こえてきそうですが、たとえそうだとしても「自分は漢字を多く使っている」という自覚はもっておいてもいいと思います。

ひとつのスタンスにこだわりすぎず、相手や場面に合わせて漢字とひらがなのバランスを調整してみる。

たとえば、基本は漢字を積極的に使っていたとしても、フレンドリーな顧客や部下にはひらがなを多く使ってみる。
それくらいの臨機応変さはあってもよいのではないでしょうか。

庄子錬(しょうじ・れん)
1988年東京都生まれ。編集者。経営者専門の出版プロデューサー。株式会社エニーソウル代表取締役。手がけた本は200冊以上、『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(22万部)など10万部以上のベストセラーを多数担当。編集プロダクションでのギャル誌編集からキャリアをスタート。その後、出版社2社で書籍編集に従事したのち、PwC Japan合同会社に転じてコンテンツマーケティングを担当。2024年に独立。NewsPicksとnoteで文章術をテーマに発信し、NewsPicksでは「2024年、読者から最も支持を集めたトピックス記事」第1位、noteでは「今年、編集部で話題になった記事10選」に選ばれた。企業向けのライティング・編集研修も手がける。趣味はジャズ・ブルーズギター、海外旅行(40カ国)、バスケットボール観戦。

※この連載では、『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』庄子 錬(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集して掲載します。