言語は翻訳アプリで改善も
有給取得率は最下位
最初に考えられるのが、言語や出入国手続き、パスポート取得などの負担が大きいことだ。前ページで紹介したJTBの「海外旅行に行かない理由」(2025年調査)においても、「言語の問題がある」(17.4%)、「出入国が面倒くさそうだから」(15.4%)、「パスポートの有効期限が切れていて、取り直しが面倒だから」(14.4%)と回答されている。
また、日本人特有の「休みが取れない」ことも影響しているだろう。旅行サイト大手・エクスペディアによる「有給休暇の国際比較調査」(世界11地域、1万1580人対象)によると、2023年の日本人の有給取得率は63%で圧倒的な最下位だった。取得しない理由は、「人手不足など仕事の都合上難しいため」(32%)、「緊急時に取っておくため」(31%)が多かった。
有給をうまく使えないと、料金の安い時期に長期の旅行を組むことが難しい。それもあって海外旅行に対するハードルが上がる要因になっていると考えられるだろう。
言語については、近年はスマホの翻訳機能を使ってコミュニケーションが取れるようになったので、障壁は大幅に改善されている。現に今、訪日外国人(インバウンド)が飲食店などで翻訳アプリをよく使っている。
サブスクやスマホとの競合
若者の価値観の変化
次に、若者が何に時間やお金を使うか、重視するものが変わってきている。現代はスマホでSNSや動画サイト、Netflixなどのサブスクリプションサービスなどを楽しむことが増えた。YoutubeやTiktokでも旅気分を味わえる時代だ。わざわざ行かなくても、そうした疑似体験で十分という人は一定数いるだろう。
また、日本人の所得が増えない中で、スマホ料金の支払いが生活を圧迫。経済的に旅行なんて無理という人を増やす原因になっていると思われる。
希望の光としては、スマホの格安プランの選択肢が増えたこと、人手不足もあってアルバイトの賃金や新卒学生の初任給が上がりつつあることか。