日本が魅力的すぎるから
海外に行く必要なんてない?

 海外旅行に行かない理由として見逃せないのが、国内旅行との競合だ。南北に長く気候も多様な日本は、世界レベルの観光地を数多く抱える。

 北海道のニセコや長野県の白馬など世界屈指のスノーリゾートもあれば、沖縄の慶良間諸島や宮古島などダイビングの名所もある。京都や奈良のように歴史が古く寺社仏閣が豊富なエリアもあれば、東京・秋葉原のようなサブカルチャーの聖地もある。

 インバウンドが日本に殺到している今、私たちも改めて日本に観光の魅力があることを再認識している。ゆえに強力な動機付けでもないかぎり、海外旅行が選択肢に入らないことは考えられる。

韓国と台湾ばっかり?
海外旅行先が偏っている!

 そうした中で筆者が非常に問題視しているのが、「旅行先の偏り」である。日本のパスポートはビザ(査証)なしで訪問できる国・地域が193もあり「世界最強」と言われる。ところが、日本人の海外旅行先は非常に偏っている。

 JTB調査によると、人気の海外旅行先(全年代)は韓国(30.4%)、台湾(26.4%)、ハワイ(24.2%)がトップ3だった。

JTB「2025年の旅行動向見通し」JTB「2025年の旅行動向見通し」(図表15)海外旅行先(性年代別、複数回答) 拡大画像表示

 若い世代に絞るとさらに極端で、29歳以下の女性は韓国が52.1%と断トツ。次いで台湾(21.3%)、ヨーロッパ(19.1%)、ハワイ(17.0%)。

 ちなみに29歳以下男性だと偏りは少しだけ解消され、韓国(36.7%)、ハワイ(24.1%)、台湾(21.5%)、ヨーロッパ(20.3%)となった。まあ、大して差がないとも言えるが。