大阪・関西万博は184日の会期中、2820万人の来場者を見込んでおり、目標達成には1日平均約15.3万人(一般入場者数)が必要だ。ところが4月21日現在、13日の11.9万人が最多、15日の4.6万人が最少。筆者が訪れた18日は7.6万人で、以降はおおむねこの水準で推移しているようだ。

 万博の評価は来場者の多寡のみで決まるものではないが、興行としての成否は来場者数で評価されるのもまた事実だ。愛・地球博も全期間で最も来場者数が少なかったのは初日という低調な出だしだったが、最終的には目標を700万人上回る約2204万人が来場した前例があるので、開幕1週間の数字だけで全体を論じることは妥当ではない。だが、現状のオペレーションや施設の規模に対しては、目標の半分程度の来場者がちょうどよいのが実情だ。

「並ばない万博」以前に
解決すべき重要な課題

 大阪・関西万博はチケット購入、交通機関、パビリオンともにネットで事前予約し、QRコードで入場できる「並ばない万博」を掲げている。だが、綿密に積み上げられた計画は、ひとつのイレギュラーで破綻(はたん)しがちだ。前提となる交通機関、チケット、パビリオンの予約システムがひとつでも機能せず、予定通りに回ることができなければ、並ぶ並ばない以前の問題になってしまう。

 それが個人の不満で済む分にはまだマシだが、13日の混雑・混乱のように、イレギュラーが積み重なれば、万博というシステム全体が機能しなくなる。インフラとオペレーションに余裕があれば対応可能だが、合理化・効率化された並ばない万博に冗長性はあるだろうか。現時点では、15万人に達しなくても悪条件が重なれば対応が追い付かなくなるリスクを抱えている。

 万博誘致が決定した2018年時点の想定では、1日当たりの来場者数28.5万人の場合、鉄道が41%(11.8万人)、シャトルバスが22%(6.2万人)、自家用車や貸し切りバスなど自動車が37%(10.5万人)の想定だった。それが2022年の輸送計画初版では、最大来場者数が22.9万人に下方修正され、鉄道が55%(12.6万人)、シャトルバスが15%(3.5万人)、自動車が30%(6.8万人)となった。