それゆえ、言葉の重みを認識することが求められるのです。決して言葉を軽んじないことです。また、リーダーは率先垂範しなければなりません。それに加えて、言葉を通して、言い換えるなら、対話を通して、自らが求めている方向性をメンバーに伝えるとともに、着実に実行に移させることが重要となります。相手の心に確実に伝えることができる「言葉力」の水準が、優秀なリーダーか否かの分岐点と言っても過言ではありません。
ただし、言葉の力は正しく使わないといけません。パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントでは、言葉が凶器になる場合もありますね。ちなみに、育児休業取得などを理由とした男性社員への嫌がらせを、パタニティーハラスメントと呼ぶようになりました。
叱るときには感情を抑えて諭す。誤った行動や起こった事案それ自体に対してのみ注意し、その改善を肝に銘じさせる。大声を張り上げて怒鳴りつけたり、長々と説教を続けて、挙げ句の果てに人格攻撃をしたりすることは、ご法度。強く叱責(しっせき)すれば萎縮し、叱責の理由を理解できなくなります。温和な表情で、指摘すべき点を根拠とともに的確に伝える方が、好感を持って納得してもらえるのではないでしょうか。
他方、褒めるときには、他者比較よりも本人比較の方が好感を持たれると思います。本人の中での変化の程度に基づいて評価するならば、「自分を見てくれている」ということが相手に伝わります。個人の力量や手腕は見抜けなくても、対話からその変化は把握できるでしょう。
人を育てるならば、やはり減点主義より加点主義による評価の方が、受け入れてもらえると考えます。暴論かもしれないですが、褒めること7割、注意すること3割くらいでしょうか。
部下は一人ひとりが異なるゆえに、語彙の多寡も、信頼されるリーダーの条件となるのではないでしょうか。
指導する立場の人間に
気づきの感性は不可欠
よく話題に上る「気配り・目配り・心配り」は、ホスピタリティーやサービスの質的向上を図ったり、コミュニケーションのセンスを高めたりすることができる要素の1つでしょう。