
SFの話だと思われてきた不老長寿だが、テクノロジーの発展により、いずれは寿命が1000年になると予測する専門家もいる。しかし、この「人類の長年の夢」がもしも実現すれば、多くのデメリットが生じる可能性もある。数十年後の「寿命が伸びた未来」を占う。※本稿は鈴木貴之『100年後の世界(増補版) SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来』(化学同人)の一部を抜粋・編集したものです。
テクノロジーの発展で
寿命は1000歳まで延びる?
衛生環境を改善したり、現代的な医療を行ったりすることによって、人間の寿命は大幅に延長された。現在では、日本をはじめとする先進国の、平均寿命80から85歳、最長寿命120歳といった数字が、期待できる上限だろうと考えられている。では、テクノロジーによってこの数字をどこまで延ばすことができるだろうか。
これまでの老化研究によれば、老化は生物の遺伝子にあらかじめ組み込まれたものではなく、生物の身体が経年劣化することで本来の働きができなくなることの結果だ。そうだとすれば、経年劣化を防ぐことで、不老不死は不可能だとしても、不老長寿、あるいは少老長寿は実現可能なはずだ。
具体的にどの程度寿命を延長できるかにかんしては、人びとの予想はさまざまだ。
ソニア・アリソン(編集部注/カリフォルニア州マウンテンビューにある「シンギュラリティ大学」の創立メンバー、理事。パシフィック・リサーチ・インスティテュート上級研究員、ネットメディアTech News Worldのコラムニストも務める)は、今後数十年のあいだに平均寿命は100歳を超えると予想する。