公務員 970人が明かす危機#10Photo:JIJI

安定した職業として根強い人気を誇る地方公務員。ところが近年は、「地方エリート」の代名詞だった県庁でも人気低下に拍車が掛かっている。北海道では、道内の転勤が敬遠され内定辞退率が例年4割超えとなっている。愛知県でも県庁より名古屋市役所が優勢と言われており、市が県に「下克上」している状態だ。特集『公務員970人が明かす“危機”の真相』の#10では、都道府県庁「内定辞退率ランキング」を大公開。職員の声を取り上げながら、転勤の多い役所の苦悩を明かす。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

都道府県庁より政令指定都市が人気
一番不人気は転勤が多い「国交省の地方勤務」

 地元の国立大学を卒業し、地元の都道府県庁に就職する。そんな「地方エリート」たちの王道が、崩れようとしている。一部の地方では、県庁が人気の就職先ではなくなってきているのだ。

 県庁の没落はデータにも表れている。次ページ表のランキングに示す通り、7都道府県で内定辞退率が4割を超えており、県庁職員が就活生にとって“滑り止め”に成り下がっているのだ。

 特に北海道では、数年前に内定辞退率が6割を超えたことすらあった。転勤を嫌がる学生が札幌市や民間企業に流れたとみられる。

 その他、愛知県でも、転勤のある愛知県庁より名古屋市役所が志望されるなど、市の県に対する下克上が散見されている。

 中央省庁でも、転勤があることで学生に敬遠されるという悩みは同様だ。特に国土交通省では、ダムなど県の中心地から遠いエリアへの配属が嫌がられているという。

 次ページでは、都道府県庁「内定辞退率」ランキングワースト10を公開し、県庁の人気低下を徹底分析する。さらに、国家公務員や地方公務員の声を取り上げながら、転勤の多い役所の苦悩を明かす。これらの役所の人気が復活を遂げるには、どうすればよいのだろうか。