「宇治」で青もみじと新茶のスイーツを

「宇治市源氏物語ミュージアム」の周囲青もみじの隠れ名所「宇治市源氏物語ミュージアム」の周囲

 先月の第47回で藤の花をご紹介した世界遺産の平等院。参拝者を魅了した境内の藤棚は、5月9日、来年に備えて花房の剪定(せんてい)が行われました。代わりに、境内に200本ほど植栽された若々しい青もみじが目に鮮やかです。

 平等院から宇治川に架かる朝霧橋を渡って対岸へ。青もみじの隠れ名所に参りましょう。道元禅師を開祖とする曹洞宗の興聖寺は、青もみじのプロムナードとなる参道の「琴坂」を上がり、境内に入ってから後ろを振り返ると、白壁の山門をフレームとした青もみじが目に映ります。キラキラ輝く水面を眺めながら宇治川のほとりを歩き、ゆるやかな「さわらびの道」を上がって「宇治市源氏物語ミュージアム」へ。エントランスへ向かうルートは二つありますが、少し遠回りして北側の入り口からぜひどうぞ。空を覆う青もみじに木漏れ日が差し、すがすがしい気分が味わえます。

 宇治ならではの宇治茶を使ったスイーツを味わうカフェタイムも欠かせません。「宇治抹茶ラングドシャ」でおなじみの「伊藤久右衛門」。宇治本店とJR宇治駅前店で、宇治抹茶を使った「紫陽花パフェ」(5月中旬~6月下旬予定)はいかがでしょう。食事も兼ねるなら、インパクト大の宇治抹茶カレーもメニューにあります。

「新茶」ののぼりも見られる平等院の表参道は、環境省「日本かおり風景百選」に選ばれ、一年を通して宇治茶の香りを感じることができます。「宇治駿河屋」や「能登椽 稲房安兼」の茶だんごなど昔ながらの定番菓子もあれば、老舗茶商が展開する宇治茶カフェも。サントリーとのコラボ「伊右衛門」で有名な福寿園が、2025年1月に開いた「茶寮FUKUCHA宇治店」では、自身でドリップしていただく宇治茶や、店内工房でつくるパティシエ特製デザートが味わえます。

 1854(安政元)年創業の「中村藤吉本店」。平等院表参道沿いにある平等院店では、とうとうと流れる宇治川を眺めながら、セルフサービススタイルで宇治茶を使ったメニューが気軽に満喫できます。表参道を抜け、メインストリートを宇治橋とは反対方向に歩くと、風格漂う店構えの本店も。明治~大正時代の製茶工場を再生した趣深い空間で、宇治茶の販売コーナーの奥には日本庭園を眺めながら碾茶(てんちゃ)を使った茶そばや宇治茶スイーツを味わえるカフェもあります。帆を上げる船に見立てた樹齢約250年の名木クロマツの枝ぶりも見事です。

 らくたびイチオシは、6月8日頃まで提供予定の期間限定商品「生茶ゼリイ[新茶]」。つるんとなめらかな食感のゼリーは新茶味で煎茶餡(あん)が付きます。抹茶のゼリー、小倉餡、白玉からなる通年提供の看板商品「生茶ゼリイ[抹茶]」と食べ比べが楽しめるチャンスです。カフェでイートインできるほか、テイクアウト用もあるので、お土産にしても喜ばれますよ。

中村藤吉本店の期間限定「生茶ゼリイ[新茶]」中村藤吉本店の期間限定「生茶ゼリイ[新茶]」 写真提供:中村藤吉本店