長期投資は
チマチマしててツマラナイ
長期・分散・積立といった資産形成の王道戦略や、ドルコスト平均法など、投資に必要な知識はその都度学んでいった。しかし、頭で理解するのと実際に実行するのとではまったくの別物である。特に「長期」に関しては、チマチマしてて嫌だなと常々感じていた。
当時は100株単位で数銘柄ほど保有していた。しかし、毎日欠かさず株価を眺めても数千円、下手すると数百円しか損益が変動しない。ハッキリ言って、ツマラナイ。僕は「時間は資産だ」「リスクを取らないリスクを考えろ」などと自分に言い聞かせ、各銘柄の保有数を200、300と増加させていった。
バイトもせず家でゴロゴロしているだけで1万、2万と含み益が増えていく感覚は、壮快だった。もちろん同じように減ってしまう日もあるのだけれど、ここをキッチリ刈り取れるかが投資の醍醐味であり、投資家のセンスが問われるのだと本気で思い込んでいた。
ほぼ毎日の頻度で売買を繰り返すようになった。社名を聞いたことがない銘柄を含め10銘柄ほど保有し、数千円から1万円前後のプラスで利確。含み損が出たら塩漬けし、数万円単位のマイナスになったら損切り。すぐに新しい銘柄を買った。
勘のいい方はお気付きだろうが、利確のタイミングは早く、損切のタイミングは遅い。この理由はシンプルに、恐かったから。含み損がドンドン膨れ上がり、せっかく積み上げてきた利益が吹き飛んでしまう恐怖……。
人間は誰しも得をしたいと願うが、それ以上に損をしないよう一生懸命になる「損失回避バイアス」を持っているそうだ。なおこの傾向は、進化生物的に人間のいとこに当たるサルにも当てはまるそうだ。僕の非合理的な行動は、今振り返ると「損失回避」の典型だったのだろう。
レバレッジ25倍!
最高に楽しいスマゲー
株取引を始めた当初こそ10万円前後のキャピタルゲイン(資産の売却によって得られる売買差益)を得ることができた。
だが、ジワリジワリと負けが続き、トータルで約30万円の資産を失った。このままでは終われない。なんとしてでも負けを取り返したい……。
このタイミングで僕は「悪手」を打つ。正式名称は外国為替証拠金取引、通称「FX」に手を出してしまったのだ。レバレッジ25倍の設定で……。