含み損のままホールしていれば相場次第で被害が縮小、含み益に転じる希望もある。しかし、ロスカットされ、損失が確定すれば種銭(総資産)そのものが減少する。そこからの巻き返しで、運用益のプラスを狙うのは途方もない時間がかかる。
初めは余力資金があったので、追加入金によって追証を解消することで「しのぐ」ことができた。けれど相場は下がる一方……、断腸の思いで建玉の一部を決裁するしか方法がなくなった。

そして迎えたある日の朝、いつものように起床後に為替レートを確認すると、僕が寝ている間に2円以上も円高になっていた。強制ロスカットが実行されており、20万円近くのマイナスが出ていた。一気に血の気が引いていく……。
結局、僕はドルだけでなくポンドやユーロ、新興国通貨にも手を出すようになった。勝って、負けて、勝って、負けて、負けて、負けて……ロスカット。これを毎日、毎週、毎月、繰り返した。そして気が付いたとき、FXだけで200万円近くの大金を失っていた。
「奨学金を返済しとけばよかった…」
覆水盆に返らず
投資という名の投機にハマるまで、僕はギャンブルに手を出したことがほとんどなかった。では、なぜ当時は取り憑かれたかのようにドハマリしたのか。この理由の1つに、僕は「カッコよさ」が影響していたと推測している。
20~69歳の男女43087名を対象にした「2025年投資に関する利用動向調査」(MMD研究所)によると、投資を始めている人の割合は22.8%。新NISAで盛り上がっている昨今でこの数値だ。当時の僕は「周りよりも先に進んでいる」感覚があった。ここに大きな優越感を覚えていた。