
日韓は置いてけぼり
中国が2番目の合意国に
米国は当初、相互関税の引き下げ協議において(同盟国で扱いやすいとみていたのか)日本と韓国を最優先にするとしていた。しかし、米国と初めて通商合意に至ったのは英国となり、米国に対して最も強烈な報復関税措置をとった中国が2番目の合意国となった。
米英通商合意では、米国が鉄鋼、アルミの25%関税を撤廃し、英国からの自動車輸入に対し年間10万台の低関税(10%)輸入枠を設けることが決まった。一方、英国は対米関税を5.1%から1.8%へ引き下げるほか、農産物市場の開放、100億ドル相当の米国製航空機を購入することで合意した。
巨額の対米輸出のうち自動車が3割程度を占める日本にとって、米国が英国からの自動車輸入に対し低関税輸入枠を設けることになったのは、日本にとって一縷の望みとなるが、日本が英国と同様の好条件を得ることは望みがたい。実際、トランプ大統領は「今後は自動車で同じ取引はしないつもりだ」と釘を刺している。
一方、米中通商合意によれば、米国は計145%としていた対中関税を30%(うちフェンタニル関連関税が20%、相互関税・基本税率が10%)へ引き下げ、相互関税上乗せ税率24%は90日間適用が停止される。中国は計125%としていた対米関税を10%へ引き下げ、当初34%としていた報復関税の残り24%を90日間の適用停止とした(いずれも5月15日発効)。これは米中が互いに上乗せした報復関税が撤回され、4月2日当初に発表された相互関税の状態に戻っただけとみることもできる。