
揺らぐ米国のドル政策
燻るドル安誘導観測
トランプ政権が誕生して100日の間に、世界はトランプ大統領の「米国へ製造業を呼取り戻し、恒常的な貿易赤字から脱すべき」という信念が本物であることを再認識させられた。その達成手段として関税への思い入れの強さも予想を上回り、国別交渉でのディールを成立させるための脅しだけではないようだ。
ただ、「解放の日」以降の市場の大混乱はトランプ大統領をすら怯ませ、関税政策だけで突っ張り続けることの限界も感じているように窺われる。
そこで新たに浮上するのが、貿易赤字是正を図るために為替の力も借りようとするのでは?との懸念だ。トランプ大統領は「ドルは高過ぎる」との認識を繰り返し示し、日本などの通貨安政策を批判している。
日米交渉においてベッセント財務長官は、円安・ドル高の直接的な是正を促す通貨目標や協定を求める考えはないとしている。しかしながら、トランプ政権では閣僚の言葉にさして重みはなく、為替市場は神経質な動きを続けている。