
政権発足100日で1割ドル安円高
米中関税引き下げ合意、流れ変えるか
為替レートの先行きが読みにくくなっている。トランプ大統領のパフォーマンスが失望売り(=米国売り)を呼んで、ドル安・円高という流れに向かっている。反対に、その過激な言動が収まってくれば、「米国売り」「米国離れ」が巻き戻されて円安に振れるという状況だ。
通常は、FRB(米連邦準備制度理事会)が為替レートに与える影響を注視し、FRBが利下げすれば、ドル投資の魅力が低下してドル安・円高となる。長期金利も同様で、FRBの利下げで低下する流れになる。
ところが、トランプ大統領が就任して、この経験則が成り立ちにくくなった。FRBは、1月、3月、5月と継続して政策金利を据え置いた。それなのに、ドル安・円高が進む格好になっている。就任時の2025年1月20日は、ドル円レートが1ドル=155円だった。それが2カ月後の3月20日は148円、さらに3カ月後の4月20日は140円になっている。約3カ月間で1割の円高進行だ。
どうして、政策金利は据え置きなのに、ドル安なのかといえば、この間のトランプ大統領の政策があまりに過激だったからだ。日米の金利差よりもトランプ政策の動向やその発言に左右される“トランプ相場”といっていい。
今後の円ドル相場の動向を考える上では、トランプ氏が過激な関税政策を改め、所得税や法人税の減税に政策の重心をシフトするかどうかだ。
5月12日に米国と中国の間で、双方による115%の関税引き下げ(一部は90日間停止)が合意されたのを受けて、ドル円相場は一時148円台まで円安に振れた。
ドル安の流れが変わり始める契機なのかどうか。