松下幸之助が教えてくれる
「シン・35歳転職限界説」の乗り越え方
では、「シン・35歳転職限界説」に陥らないためにはどうすればよいか。自分がプロフェッショナルであるという自覚が強い人ほど、アンラーニングや転職した会社組織へのチューニングを強く意識することが大切です。
もし「別のやり方のほうがうまくいく」と考えていても、最初はその組織のやり方にチューニングして周囲の信用を得ることを優先してください。そうしなければ、協力して動いてもらうことができないからです。
大人になればなるほど、反省の頻度を上げるのがよいと思います。キャリアの軸となるプロフェッショナリティを大事にすると同時に、組織で求められるように自分を変えていくという柔軟性の両立が重要であり、それを達成する術は本人の自覚以外にありません。
ただ、従来の自分のやり方に固執する人は多くの場合、無意識にやっています。自分に染み付いた成功パターンでやっているから、変化できていないことを自覚しづらい側面があるわけです。これをしっかり意識して新しい職場に適応するために良い方法があります。それは、自分の仕事ぶりを見ている上司に1on1をお願いすることです。身近な第三者からフィードバックをもらうことが有効です。
転職した直後は様子がわからないので、1カ月くらい経過したころから始めるとよいと思います。そして耳に痛いことを指摘されても、素直に受け入れてください。むしろ、自分から「組織に貢献するために自分を変えたいから、ネガティブなフィードバックをしてほしい」と伝えてもいいかもしれません。目的を共有し、本気の姿勢を示すことで信頼関係をより強固にすることができるでしょう。
松下電器の創業者・松下幸之助は「素直な心」が大切であると説きました。毎日、自分の行ないを反省して、改めるべきは改めてるように心がけるのです。
自分が進化・発展していくには、周囲からいろいろなフィードバックをもらいながら変化していく取り組みが必要です。プロフェッショナリティには特定の分野の知識やスキルという側面と、ビジネスパーソンとしての能力の側面がありますが、どちらも周囲からのフィードバックによって、磨かれていきます。
この変化を続けていく意思を持ち、それを成長として喜ばしいことだと感じる感性が35歳を超えても持ち続けられるかどうか。それが「シン・35歳転職限界説」を乗り越えるカギとなるでしょう。
