“帽子の話”で和んだのも束の間…釜次(吉田鋼太郎)の絶叫に舞台出身の本気がさく裂「明日が来るのがつらい」【あんぱん第37回レビュー】

中園ミホの朝ドラ『花子とアン』にも
出演していた次郎役・中島歩

 次郎を演じている中島歩は、中園ミホの朝ドラ『花子とアン』では主人公・花子(吉高由里子)の親友・蓮子(仲間由紀恵)の恋人役だった。夫(吉田鋼太郎)がいる身でありながら蓮子は恋人と逃避行する。とても浪漫あふれるエピソードを担っていた。

『花子とアン』の頃は生真面目な二枚目役の印象だったが、近年、役の幅が広がっていて、『不適切にもほどがある!』(TBS)では礼儀正しいけれどどこかユーモラスな教師の演技で注目された。サラダバーのあるディスコの場面、最高だった。

 真面目な二枚目が崩れたときのおもしろさったらない。だが今回は、礼儀正しい二枚目という得意ジャンルである。折り目正しさは誰でもできるものではないので、身についている中島歩だから安心して見ることができる。

 その頃、嵩(北村匠海)はのぶに手紙を書こうとしてなかなか書けずにいた。丸メガネをかけた北村匠海は漫画家や画家というより、書けなくなった昭和の作家のようである。それをからかう健太郎(高橋文哉)。

『あさイチ』でも博多華丸・大吉が、おもしろい話と思って見ていたら……と不意を打たれて呆然としていたが、このあとドラマは意外な方向へ――。

 仕事中の釜次のもとへ、「このたびはまことにご愁傷さまです」と兵事係が通知を持ってきた。

「豪〜よ〜 ああ ああ」

 吉田鋼太郎の舞台演技全開。シェイクスピアかギリシャ悲劇か。このドラマのバランスからうんっとはみ出して、吠えるような声を出す。それだけショックな事態であることが伝わってきた。

 驚いて家の中から出てきた蘭子(河合優実)の表情で、つづく。

 明日が来るのがつらい。

 ハッとなるメイコ(原菜乃華)の表情も絶妙だった。

“帽子の話”で和んだのも束の間…釜次(吉田鋼太郎)の絶叫に舞台出身の本気がさく裂「明日が来るのがつらい」【あんぱん第37回レビュー】

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