私も中米グアテマラで、アイデンティティが一気に変わった

 青年海外協力隊員として中央アメリカのグアテマラに行ったときの私も、まさにその状態だった。
 青年海外協力隊に入ったとたん、日本を背負っているような気がして、自分の仕事には責任を持とうと、かなり意識が変わった。
 また、私は当時、余暇の時間を使って地元の大学生や社会人に剣道を教えていた。
 しかし、中米の小国は竹刀や防具を調達することができないため、自ら手紙を書き、全日本剣道連盟と直接交渉してメキシコ経由で空輸してもらったこともある。
 その後も署名活動をしたり、グアテマラの政府高官と話をして、「ナショナル剣道協会」の立ち上げまで関わった。
 こうした力が発揮できたのは、青年海外協力隊としてグアテマラに行ったことでアイデンティティが一気に変わったからだろう。

 自分のアイデンティティを変化させることは、それほど多くはない。
 だから、アイデンティティが変わるチャンスは最大限活用すべきだ。
 たとえば課長に昇進したとき、

「課長になっても、いままでどおり変わることなくやっていきたいと思います」

 などと言わず、キッチリと所信表明をしよう。
「口に出した以上、やらないといけないから」
 などと尻込みをしてはならない。
 アイデンティティが変わったときは「ストレス耐性」が高い。
 このチャンスで踏ん切りがつかないのなら、いつまで経っても覚悟の決められない人になってしまう。

 私がコンサルティングしている先で、新入社員が入ってきたとき、できる限り「儀式」をしていただく。

「主任のUさんに教えてもらいながら、ボチボチ仕事を覚えていきなさい」
「肩の力を抜いて、ゆっくりと慣れていけばいいから」

 最近の若い人は何を考えているかわからないし、あまり刺激を与えると萎縮するかもしれないからソフトタッチで接しようとしている上司、先輩社員はいないだろうか。