『絶対達成する部下の育て方』と『絶対達成マインドのつくり方』の著者である横山信弘氏は、年間5000人を変える現場コンサルタントとして、日々「決断できない人」に「決断」を迫っている。
このたび、『絶対達成する決断力のつけ方』を発刊したばかりの横山氏に、「絶対達成」シリーズのキーフレーズ「習慣=インパクト×回数」の「インパクト」を変える「儀式のパワー」を紹介してもらった。
時間の流れをせき止めインパクトをかける「インタイム」とは
『絶対達成する決断力のつけ方』では、ロジカルに決断できるテクニックを紹介している。なかなか決断できない人が、思い切った決断をできるような理論である。
精神論や心構えは一切書いていない。
「君ならできる!」
「恐れないで前へ進め!」
などと励ましたとしても、決断できない人は決断できないものだ。
決断をするためには、時間の流れをいったんせき止めて、インパクトをかけることだ。
このときに有効なのが「インタイム」という考え方である。
「インタイム」とは、1分や2分という極端に短い期限を切り、脳の基本回転数を強引にアップし、脳のブースターを働かせたいときに使える。
「よくよく考えてみたら……」
という状況をつくり出すのだ。
ただ、30分も1時間もこの状況が続くはずがない。1分でも長いくらいだ。
私はコンサルティングや研修でよく「インタイム」を使う。
講師である私が一方的に話をしていると、受講者が「よくよく考えてみたら……」という状況をつくり出すことができない。
ある一定の時間が経過したら、インタイムを使って受講者の脳の基本回転数をわざと上げるのだ。
ストップウォッチを持って、「いまから1分間で○○の問題点を3つ出してください。ようい、スタート!」と言い、みなさんにその1分間に入ってもらうのだ。
すると、たった1分でも驚くほどたくさんのアイデアが浮かぶ。
3つくらいなら時間が余る人がほとんどだ。
会議を1時間続けても、これほどたくさんのアイデアが出ることはない。ぼんやりしていると1時間くらい一気にすぎてしまうだろう。
「インタイム」を使うと、ノイズがカットされ、時間の流れを変化させることができる。もちろん、物理的時間は変わらないが、心理的時間は相当長くなり、集中して思考を巡らせることができる。
立ち止まる時間は1、2分で十分だ。何時間も、何日も立ち止まる必要はない。
なかには決断に数週間、数ヵ月かける組織もあるが、そんなに長い時間立ち止まっていたら、期限までに目標達成することはできず、期限そのものが流されていく。それでは意味がないのだ。
「2分」と聞くと、短いと感じるかもしれない。しかし「2分」はテレビの15秒CMの8倍の時間だ。
CM中には意外といろいろなことができるし、何もしないまま番組が始まるのを待っていると、「このCMは長いな」と感じることだろう。
「2分」は意外と長く、「2分」あればいろいろなことが考えられる。
慣れてくれば、「1分」で決断できるようになるはずである。
「インタイム」をつくるときには、キッチンタイマーを使うのがお勧めだ。
バイブレーターつきのキッチンタイマーなら、電車や新幹線などで移動している途中でも、静かな喫茶店やホテルのラウンジでも「1分」や「2分」と設定し、「インタイム」をつくることができる。スーツのポケットに収まる薄型のものを選ぶと便利だ。
どんなタイマーでもかまわないが、スマートフォン(以下、スマホ)や携帯電話をタイマー代わりに使うのはお勧めできない。
本書では「ノイズキャンセリング仕事術」というテクニックを紹介している。
いかにノイズと遠ざかるかが、時間の流れをせき止めるうえで重要だ。
スマホや携帯電話には、タイマー以外のさまざまな機能がついている。ネットサーフィンもできれば、ゲームで遊ぶこともできる。
そんなグッズを身の回りに置いておけば、ついつい「フェイスブックを見てみよう」とか、「何か面白いアプリはないかな」という気持ちになる。
そんなノイズだらけの状態では、「インタイム」をつくることはできない。