「模試の偏差値が足りません。洗足に入るのは無理でしょうか?」→洗足学園の先生がキッパリ回答!【中学受験の過去問付き】洗足学園中学高等学校の玉木大輔先生(左)と対談する渋田隆之塾長(右) 撮影:ダイヤモンド・オンライン編集部

塾業界30年以上のベテランであり、神奈川県の中学受験国語塾「中学受験PREX」の渋田隆之塾長と、洗足学園中学高等学校の玉木大輔先生(校務主任・国語科)が対談。洗足学園は、もともと音楽大学が有名で、近年は進学実績を伸ばしながらも学力だけに偏らないユニークな教育で注目を集めている。前後編の前編では力を入れているキャリア教育や選択肢を広げて“生徒に考えさせる”という教育理念、取りこぼしのない理系教育などについて聞いた。(国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー 渋田隆之、構成/ライター 奥田由意)

洗足の教育を受けたいという子に
入学してほしい

渋田隆之塾長(以下、渋田) これまで入試日程は3日間でしたが、2026年度から2日間へと変更すると発表されましたね。

玉木大輔先生(以下、玉木) はい。「第一志望で洗足に入りたい」という受験生の方への枠を広げたかったというのが一番の変更理由です。実は今年(25年2月)、第1回入試の受験生の入学手続き率が9割を超えました。これまで8割程度だったので、衝撃でした。

渋田 9割超えは確かに驚異的な数字ですね。

玉木 学校として、第1回入試は80人しか合格枠がなかったため、増やしたいと考えていました。しかも、第2回の入試の入学手続き率も上がってきているので、そこから第1回に定員人数を寄せるのは難しいと判断しました。一方で、第3回は手続き率が上下している中で、受験生の数自体は減っていました。

渋田 第3回は中学入試終盤の日程なので、受験生にとって負担が大きいということでしょうか。

玉木 そうですね。特にここ5年から10年の間に午後入試を実施する学校が増えており、受験生の体力的負担は相当大きいものがあります。そして、3回目の試験となると不合格が続いた中での受験になりがちです。

 それよりは、第1回で、洗足を第一志望にしている生徒に入学してもらいたいので、定員を40名増やして120名とし、第3回はなくすという決断をしました。

渋田 サンデーショック(※ 26年2月1日は日曜日にあたるため、キリスト教系の学校の中には入試を行わない学校がある)の影響は意識されましたか。

玉木 それは全く意識していません。たまたまサンデーショックの年と重なることで、さらに動向が読みづらくなるということはありますが。

渋田 26年の受験傾向をどう見ていますか。

玉木 サンデーショックとは関係なく、ここ2、3年の志望校選びの動向=「安定志向」が来年も色濃く出てくると思います。それがサンデーショックという要素と重なり、さらにその影響は通常の1.2倍、1.3倍という形で増幅する可能性があります。