成長を望んでいると口では言っているのに行動は一致していない。それはどんな人で、なぜ言行不一致の若手人材が生まれるのか考えてみましょう。
自分本位で仕事をする人間は
成長したくてもできない
前述した東京商工会議所の調査では、Z世代の若手社員を指導・育成する際に困っていることとして、「若手社員が(ストレスやトラブル等に対して)打たれ弱い」が37.5%でトップに上がっています。しかし、成長には未知の経験や自分の現在の能力を超える何らかのチャレンジと、それに伴うストレスやプレッシャーが付きものです。
自分を磨く砥石となるのがストレスですが、実際にそれが降りかかってきたときに正面から立ち向かわず、逃げ出してしまう。そうするとますます辛くなって、あっさり退職してしまう人も出てくる。これは少なからぬ職場で目にされる現象だと思います。
結局、困難な場面に直面したときに逃げ出さず、立ち向かえるかどうか。そこに若手人材が成長できるかどうかのカギはあります。しかし、口では成長を望んでいながら、成長の機会が逃げ出したくなるような困難の中にあることを理解していない人が多いように見えます。
もちろん成長したいという欲求は否定しませんし、ぜひ持っていてほしいものですが、ビジネスパーソンとして成長するのはそう簡単ではない、ということです。
そもそもビジネスパーソンとしての成長は、どうすればお客様の役に立てるか、あるいはどうすれば自社に貢献できるかを必死に考え、試行錯誤していくといつの間にか達成できている種類のものです。つまり、他者への思いや働きかけが先にあり、自分は後です。
ところが自分への関心の高さから「成長したい」と思っている人は、自分のことばかり考えているのでなかなか成長できない悪循環に陥ります。若手人材を見ていると、組織や同僚、お客様より自分の優先順位が高くなっている人も見受けられます。言葉と行動が真逆を向いてしまう矛盾に陥らないように気をつけたいところです。