価格は11万円前後、しかし富士フイルムにしか作れないデジカメ
X halfの価格はオープンだが、店頭価格は11万円前後(税込)といったところだ。これを高いと見るか、妥当と見るかは人それぞれだろう。しかし、このような新機軸に満ちた製品を真面目に開発して市販することは日本企業、特にカメラだけでなくフィルムメーカーとして長年の蓄積を持ち、今もチェキやチェキプリンタでZ世代に圧倒的な人気を誇る富士フイルムにしかできないと思う(ちなみに、X halfはアプリを介してチェキプリンタにも出力可能)。
軽くて手に馴染む筐体は散歩カメラとしても適しており、Z世代にとっては、お金を貯めて購入するちょっと贅沢な憧れのカメラになりうるかもしれない。ちょうど、若者たちがレコードにCDやストリーミングとは異なるモノとしての魅力を見出したため、生産額が35年ぶりに70億円を突破したというニュースも飛び込んできた。
一つ確かなのは、X halfは既存のカメラの価値観や評価基準とは異なるところに存在する製品だということで、興味のない人と熱狂的に支持する人とにはっきり分かれそうだ。しかし、だからこそ、かつてのハーフカメラのように安く作って誰にも買いやすいものにする必要もない。その意味では、これからの日本製品が採るべき道を示す製品ともいえるのである。
