外務省は部下から上司へのパワハラも問題に
厚労省ではいまだに「学歴差別的」な発言も

 組織内パワハラ危険度ランキングのワーストは外務省だった。

 従来、外務省や財務省のように、エリート意識が強い官庁では、パワハラが横行する傾向があった。それに加えて外務省では、大使館などの在外公館で、少人数で勤務することが多い。パワハラ上司に当たってしまうと在外公館の狭く濃密な人間関係の中で苦労することが多いようだ。

 部下から上司へのハラスメントについて、複数の報告があったのも外務省の特徴だ。アンケートに回答した職員によれば「下の者から上の者に対するバッシングが甚だしい。気に入らない意思決定があると中間管理職である私を飛ばし、上司(総領事)のところに乗り込んで圧力をかけるケースが多かった」という。

 2位の法務省と4位の裁判所では、全国転勤があることがパワハラにつながっていることを示唆する回答が目立った。裁判所職員は「育児中の職員(母親)に、子どもを置いて遠方に単身赴任するよう詰め寄るケースがあった」と回答した。

 3位の文部科学省は、「天下り済みの幹部が、パワハラをしてきた。それだけでなく、私に罪をなすり付け、人事当局や幹部に根回しをして左遷した」(元職員)「(審議官を務めた)幹部から暴力を振るわれた」(職員)といった前時代的なパワハラの報告があった。

 9位の厚生労働省では、職場のハラスメントを是正する役割を担っているはずの労働局の職員が、関西の私立大学出身の職員に対して「どうでもいい大学」と面罵する場面があったという。回答した職員は「明白な学歴差別である」と強く批判した。

 一方、ダイヤモンド編集部が昨年作成した同様のランキングで危険度が高かった財務省や国税庁、防衛省では、パワハラを生む組織文化が改善されているようだ。これらの省庁は、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書の改ざんを強要された近畿財務局職員が自殺した問題や、女性自衛官に対する隊内での強制わいせつが事件化し、有罪判決が確定した問題を猛省して改革に取り組んでいるとみられる(詳細は本特集の#20『省庁の人材争奪戦に勝負あり!?【人事の改革実感度ランキング】省庁間で大きな格差「ブラック省庁」が改革を断行し、ホワイトな経産省を猛追』参照)。

 ダイヤモンド編集部では、本特集の#19『【省庁別パワハラ危険度ランキング完全版】上司からの被害は3位文科、2位法務、政治家からは4位農水、3位外務…1位は?』で、省庁別の「組織内パワハラ危険度ランキング」だけでなく、「政治家からのパワハラ被害度ランキング」を公開。さらに、政治家や上司それぞれによって、どのようなハラスメントが多く行われているかを示すパワハラ行為ランキングも示し、パワハラ危険度の省庁間格差が広がっている実態や、「大声を出す」といった民間企業ではほぼ根絶されたパワハラが依然として非常に多い霞が関の内実を明らかにしている。

Graphic by Kaoru Kurata

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